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スローエアロビックとは?

スローエアロビックの誕生

『スローエアロビック』はJAFが提唱する健康寿命の延伸を目的とした健康体力づくりのための運動プログラムです。JAFは2006年から静岡県袋井市と『エアロビックの町づくり』をすすめてまいりましたが、『脳フィットネス』を提唱する筑波大学の征矢英昭教授の指導の元に、認知症予防にも効果が期待できる軽運動として再構築を図りました。

現在は高齢社会への貢献活動としてスズキ(株)よりご協賛をいただき、47都道府県エアロビック連盟や関係指導者と連携し、全国への普及に取り組んでいます。

気分を重視した軽運動

これまで健康維持・向上のためには、中程度の運動で「ややきつい」と感じる最大努力の50%~60%の運動が薦められてきましたが、高齢者や運動が苦手な人にはそのレベルでは「長続きしない」という問題がありました。

しかし、高齢者や体力のない運動初心者でも「きつい」と思わず「楽である」と感じる最大努力が30%~40%の低強度の運動であれば、気軽に始められ継続性も期待できます。その心拍数の目安は90~110拍程度です。この低強度の運動が「軽運動」と呼ばれる概念です。

さらに、軽運動で身体効果高める条件として重視されるのが「気分」です。このため音楽を用いたり、一人より仲間と一緒にやることが気分を高め、効果的だと云われています。日本エアロビック連盟が目指す軽運動がスローエアロビックです。

「シンプル・スマイル・ソフト」な新感覚エクササイズ

「シンプル・スマイル・ソフト」の関係図とイメージ

スローエアロビックは、高齢者や体力のない運動初心者の方にでも気楽に実践してもらえるよう簡単な動きを反復して楽しむエクササイズです。シンプルで簡単なので動きを覚える煩わしさを感じず、高齢者でも安心して音楽に合わせて動けるようになります。

仲間同士が集まり、好きな音楽をかけて体を動かせば気持ちも明るく前向きになります。スローエアロビックを続けることで笑顔がこぼれてしまう、そんな素敵なコミュニケーションが生まれるのもスローエアロビックの特徴です。ゆったりとしたテンポで動くので運動強度もソフト。安全に運動を続けることができます。体に無理がないので継続率が高く、運動習慣が自然に身に付いて行きます。

日頃の健康寿命を伸ばす運動指導や、その他高齢者運動指導の際に、基本のエクササイズとして他のプログラムと組み合わせて行うことも有効です。

意欲的な毎日を作るー「脳フィトネス」

現代社会に生きる私たちは、日々さまざまなストレスを抱えています。短期間で適度なストレスは身心にとってよい効果を与えますが、ストレスが過度であったり長期間に及んだりすると、身心をむしばむ悪いものになりかねません。

スローエアロビックを楽しむ人達

ストレスが長引いて、脳(海馬など)に元気がなくなり、何事にも意欲が湧かないうつ状態へと陥るリスクが高まります。いまや、大人のみならず小中学生のうつ症状やひきこもりも社会的な問題となっており、いつも元気がなく、やる気の出ない人が増える傾向にあるのです。

日々のストレスに負けず、前向きで意欲にあふれた毎日を過ごせるような脳の状態を作ること。それを征矢英昭教授(筑波大学)は「脳フィットネス」と名づけました。脳が適度に活性化していて、快適な気分でやりたいことができる状態を保つには、つい笑顔がこぼれるような運動を生活に取り入れることが大切です。

かる〜い運動で脳活性化 認知症も遠ざける!

征矢教授の研究グループは、運動初心者や体力の低い方でも楽しく脳フィットネスを高められる運動として、散歩やヨガ、太極拳程度の強さの、身体に負荷の少ない運動に着目してきました。

このような軽い運動は確かに楽かもしれません。それだけに、運動としての効果がないのではないか、と疑問に思う方もいるかと思います。運動とは、きつい負荷がかかってこそ意味があるものだ、という従来の考え方からすれば、そうかもしれません。しかし、息が少し弾むくらいの軽い運動を10分間行うだけでも、意欲や気分、認知を司る前頭前野や海馬は十分に活性化し、認知機能が向上することが、最新の研究によって明らかになっています。

運動は気分をコントロールできる「ムードチェンジャー」

なぜ軽い運動でも脳は活性化するのでしょうか。実は、体を動かすことそれ自体が、脳を活性化させるのです。

例えば、筋肉が動くのは、頭頂部にある「運動野」が筋肉に対して指令を出すからです。また、運動の計画には「前頭前野」が必要ですし、細かな動きの調整には「小脳」が活動します。つまり、体を動かすためには、様々な脳の場所が協力して働く必要があるのです。

感覚刺激・中枢指令のイメージ

一方、筋肉が動くと、筋や腱、そして関節などから発せられる情報(感覚刺激)が脳に戻ってきます。このように、脳と筋肉がコミュニケーションのサイクルができると、脳はどんどん活性化していきます。脳幹で、心の安定をもたらすとされるセロトニンや意欲を高めるノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質がたくさん作られれば、脳は元気になります。これが脳フィットネスの基盤となる筋から脳、体から心を活性化するシステムとして重要なのです。その結果、これまでお話したように、体を動かすことで脳は活性化し、私たちはリラックスしたりイキイキしたり、気分が変わっていきます。つまり、運動は気分をコントロールする「ムードチェンジャー」の役割があるのです。

スローエアロビックとは?

スローエアロビックは、従来の激しいエアロビックをただ単にゆっくりした、"スローな"エアロビックではなく、スローフードやスローライフのように、質が高くて誰もが楽しみながら続けられる、そういう体操(運動)としてのエアロビックです。

スローエアロビックのイメージ
富山淳Ⓒ

従来の運動プログラムとしてのエアロビックは、音楽のテンポが130~150拍/分程度のアップテンポの音楽に合わせて、上下動をくり返しながら激しく動く中強度の有酸素運動が主流でした。スポーツジムなどで、汗をびっしょりとかきながら体を動かし続けるいわゆる「ワークアウト」のイメージを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この根本には、なるべく体に多くの酸素を取り入れること、すなわち、より多くのエネルギーを消費することこそが運動効果を高める上で重要だという考え方がありました。動きも直線的でアーティフィシャル(人工的)なものが多く、普段運動をほとんどしていない人にとっては、なかなかなじみのない動きばかりです。

一方、スローエアロビックでは、シンプルで自然な動きを取り入れながら、カロリー消費ではなく、気分を好転させることを重視しています。音楽に合わせて楽しく体を動かすというエアロビックの本質的な魅力を、低強度領域の運動へと裾野を広げようという考え方に基いています。

今回ご紹介するのは、そんなスローエアロビックの基本として位置づけた3つの動作です。どの動きも音楽に合わせて腰を振り、つい笑顔がこぼれてしまうような動きをくり返します。振りを覚える煩わしさはありません。音楽に合わせて仲間と一緒に楽しく体を動かします。

決して頑張らず、無理をせず、誰もがそれぞれのライフスタイルの中で実践できるように。スローエアロビックにはそんな思いが込められています。

科学的根拠に基づいた運動プログラム

二次元気分尺度を使って検証した結果

気分は脳フィットネスの重要な指標です。気分を簡便かつ短時間に繰り返し測定できる方法として「二次元気分尺度(Two-dimensional mood scale:TDMS)」(特許取得:坂入、征矢)がありますが、これを使って検証した結果が左の表です。
ラジオ体操より快適度や覚醒度が上がり、ポジティブな方向に変化しています。

気分が快適になるかどうかがカギ

音楽に合わせて運動した場合と、電子メトロノームのテンポのみを聞きながら運動した場合の効果を比較した結果、音楽に合わせて運動すると気分がより快適になり、ストループ課題の反応時間もより速くなりました。さらに、個人ごとの変化を調べると、運動により気分が快適になった人ほど、認知機能が向上し、前頭前野の背外側部の活動が活発化していたことが分かりました。

つまり、運動で前頭前野の働きを高めるためには、気分が快適になるかどうかがカギということです。

気分とストルーブ課題の結果 気分の変化と認知機能の変化の関係

※ 「脳フィットネス」は筑波大学征矢英昭教授の登録商標です。
※ 「スローエアロビック」ロゴは(公社)日本エアロビック連盟の登録商標です。